蟲狩り少女
だけどテレビの中で見るビキニ姿の女性はみんなスタイルが良くて、大人な人たちだ。


あたしはチビだし、クビレも胸もおしりだってない。


だから困ってしまって立ち止まっていると、お母さんが一つの水着を手に持ってやってきた。


胸だけ隠すチューブトップにストラップがついた形の、真っ白な水着だ。


胸元にはフリルが沢山使われている。


「可愛い……!」


あたしはそのデザインに思わず口走っていた。


「ね、可愛いわよねこれ。これなら背の小さな里音でも可愛く着られると思ったの」


お母さんは嬉しそうにそう言う。


そしてその水着をグイグイあたしに押し付けてきた。


「ほら、とりあえず試着して来なさい」


「えっえっ……」


「ほら、早く」


お母さんに押し切られ、あたしはその水着を受け取ってしまったのだった。
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