蟲狩り少女
途中でそれに気が付いたあたしは、慌てて図書館で借りてきたファンタジー小説と、課題のプリントを数枚、旅行鞄に押し込んだ。


「これで大丈夫」


ようやく出来上がった時には鞄の中はパンパンになっていた。


それを抱えるようにして持って一階へ向かうと、すでに化粧を終えたお母さんが待っていた。


「そんなに沢山荷物があるの?」


あたしの荷物を見て目を見開いている。


「う~ん……なんか、なんでも持っていいとなると余計にわかんなくなっちゃって」


そう言い、照れ笑いをする。


「ちょっとした物なら、行ってから買えばいいのに」


「あ、そっか」


今回はお小遣いにも制限がない。


荷物を減らしたければ、到着してから買えばいいんだ。


今頃そんなことに気が付いたあたしは、パンパンの鞄を見下ろしてため息をついたのだった。
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