蟲狩り少女
「あぁ? 聞こえねぇよ!」


脇マサヤの声は確かに聞こえていた。


普段のざわついた教室なら無理だったかもしれないが、今の静かな中では遠くにいるあたしの席までしっかりと届いていた。


だけど三岳友輝はそう言い、脇マサヤの机を両手でバンッ!と、叩いた。


空気がビリビリと揺れ、そしてまた張りつめる。


あたしは自分の食欲が消えてしまったことにも気が付かず、その様子を見つめる。


「インフルエンザは……治ったよ……」


意味のない威圧的な態度を取られても、脇マサヤはしっかりとした口調でそう答えた。


それが更に気に入らないのだろう。


三岳友輝は誰も座っていない隣の席の机を蹴りあげた。
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