蟲狩り少女
あたしは気を取り直し、笛を口にくわえた。


笛とスプレーで攻撃をしながら寝室へと進んでいく。


足元に落ちた蟲たちのせいで、足の裏がべとつくような感覚がする。


「開けるぞ」


ドアの前まで来て光磨が目配せをしてくる。


あたしは深く頷いた。


キラリと光る銀色のドアノブ。


よく見慣れているハズのそれが、今はなにか不気味なものに見えている。


このドアを開ければ蟲たちがわき出てくるだろう。


そう思い、ゴクリと唾を飲み込んだ。


光磨も、片手でスプレーを構える。


そして一気にドアを解放した……。


瞬間。


あたしは目の前の広がる光景に絶句した。


光磨もすぐには動けずにいる。
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