蟲狩り少女
入ってすぐの廊下にも大量の蟲たちがいた。


その光景に口元を手で覆う。


普段なら蟲狩り師としての血が騒いだりするのだけれど、今回ばかりは気持ちの悪さの方が先にたっていた。


あたしは廊下に群がる蟲たちを目で追いかけた。


一体どこから来ているのか。


それはすでに予想できていることだった。


蟲たちが出てくる先にはお母さんの寝室のドアがある。


蟲たちは間違いなくそこから出てきているようだった。


「……どうしよう……」


大量の蟲を見て頭が真っ白になっていく。


あたしたちの力だけでこれだけの蟲狩りができるのだろうかと、不安が膨れ上がる。


「行くしかないだろう」


不安が隠せないあたしとは逆に、光磨は強い口調でそう言った。


その手にはしっかりと蟲スプレーが握られている。
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