蟲狩り少女
あたしは思いっきり笛を吹いた。


目の前で雪の結晶が水へと変わっていく。


徐々に視界は開けて行き光磨の顔が見えた。


その顔にも数匹の蟲が這っている。


「里音、大丈夫か!?」


「なんとか……ありがとう」


蟲の大群の中からなんとか這い出したあたしは、肩で荒い呼吸を繰り返した。


元いた場所を振りかえると、そこはすでに蟲たちで覆われて床も見えなくなってしまっていた。


いまだに蟲は増え続けている。


「あたしも一緒に事の葉を」


「あぁ」


光磨を目絵を見かわせ、そして口を開く。
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