シンデレラに恋のカクテル・マジック
「今日のフレア・ショーはもう終わりにするつもりなんだけど、カクテルなら何でも好きなのを作ってあげるから、飲みたいのを言ってみて。名前がわからなくても味の好みやイメージを教えてくれれば、キミにぴったりなのを作ってみせるから」
永輝に自信たっぷりに言われて、菜々はなんだか楽しい気分になっていた。
「じゃあ次は、もっと甘い気分にしてくれるカクテルをお願いします」
「甘いのが好きなの?」
永輝に問われて、菜々は少し首を傾げた。
「そうですね。ピーチ・フィズとかを飲みます」
というより、実はピーチ・フィズしか飲んだことがない。二年前、二十歳になったお祝いに、大学の友達と洋風居酒屋に行った。カクテルのことがよくわからず、店員に「飲みやすいですよ」と勧められてピーチ・フィズを飲んだ。あの頃は菜々も普通の女子大生で、おしゃれもショッピングも遊びも、いろいろ楽しんだものだ。けれどその直後、やむにやまれぬ事情で節約生活が始まり、アルコールを口にする機会は訪れなかった。でも、それを言うと、バーに入ろうとしたくせにカクテルに詳しくないことがバレて恥ずかしい気がするので、黙っておく。
「じゃあ、甘くて爽やかなのが好みなのかな」
永輝が背後の棚から鮮やかな赤いボトルを取り上げた。
永輝に自信たっぷりに言われて、菜々はなんだか楽しい気分になっていた。
「じゃあ次は、もっと甘い気分にしてくれるカクテルをお願いします」
「甘いのが好きなの?」
永輝に問われて、菜々は少し首を傾げた。
「そうですね。ピーチ・フィズとかを飲みます」
というより、実はピーチ・フィズしか飲んだことがない。二年前、二十歳になったお祝いに、大学の友達と洋風居酒屋に行った。カクテルのことがよくわからず、店員に「飲みやすいですよ」と勧められてピーチ・フィズを飲んだ。あの頃は菜々も普通の女子大生で、おしゃれもショッピングも遊びも、いろいろ楽しんだものだ。けれどその直後、やむにやまれぬ事情で節約生活が始まり、アルコールを口にする機会は訪れなかった。でも、それを言うと、バーに入ろうとしたくせにカクテルに詳しくないことがバレて恥ずかしい気がするので、黙っておく。
「じゃあ、甘くて爽やかなのが好みなのかな」
永輝が背後の棚から鮮やかな赤いボトルを取り上げた。