シンデレラに恋のカクテル・マジック
 そう言った永輝の声から不安がうかがえた。穂乃花と別れてから、彼は本気で誰かに心を預けることに臆病になっていたのだ。

「信じます」

 菜々が顔を上げた直後、永輝に抱き寄せられ、また唇をふさがれた。でも今度のは、これまでの気持ちをすべてぶつけるかのような激しいキス。

「永輝さ……っ」

 息を継ぐのもままならないほどの熱い口づけに、菜々の膝から力が抜け、永輝が菜々を支えるように腕に力を込める。

「菜々ちゃん……」

 永輝が唇を離してつぶやくように彼女の名を呼んだ。

「永輝さん」

 離れたくなくて、菜々は永輝の背中に手を回す。

「今夜はもう菜々ちゃんを帰したくなくなったんだけど、構わないかな?」

 菜々の耳元で永輝が低くささやいた。彼の熱い息にくすぐられて、腰の辺りがざわめく。菜々が小さくうなずいた直後、永輝の手が膝裏に回されて横抱きに抱え上げられた。彼は菜々を抱いたまま、ベッドルームのドアを開け、熱く口づけながら彼女をベッドに下ろす。永輝の手のひらが菜々の髪に、頬に、首筋に触れる。
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