シンデレラに恋のカクテル・マジック
 永輝が印象的な二重の目を細め、形のいい唇の間から小さく舌を覗かせながらベッドに片膝を乗せた。菜々は驚いて座ったまま後退る。

「や、あの、これはいったいどういう……」

 永輝の表情が色っぽすぎて直視できず、菜々は視線を彼の顔から手前へと移動させた。目に入ったのは、菜々の体を包むように、足元から乱れてかかる淡いグリーンのタオルケット。それをおそるおそるめくってみると、菜々は昨日と同じ、ネイビーのジャージー生地のフレアスカートとペールブルーのブラウスを身につけていた。

(服は着てるけど、でも、まさか……)

 服の上からそーっと確かめてみる。ショーツもブラジャーも乱れていないし、ストッキングも履いたままだ。

 菜々はチラリと永輝を見た。菜々の狼狽ぶりをじっと見ていた彼は、ついにふっと笑みをこぼした。

「大丈夫だよ。いくら俺でも、寝ている女性を襲ったりはしない。一応同じベッドで寝るには寝たけど、そういうことはちゃんと同意を得てからする」
「そ、そうですか……」
< 18 / 278 >

この作品をシェア

pagetop