シンデレラに恋のカクテル・マジック
「さっき菜々ちゃんが食べていたのはこれ。タオルケットなんか食べてもおいしくないだろうと思って取り上げたら、俺の首にしがみついて熱烈なキスをしてくれたんだけど」
「えっ」

 永輝が持っているタオルケットを見ると、その角がヘタって湿っている。

「じゃあ、私がもしゃもしゃしてたのって……この角?」
「これをベーコンだというのならまだしも、セクシーだと評判のこの俺の下唇をベーコンと間違えるなんてどういうことだろう」

 永輝の声が憤慨しているようにも聞こえて、菜々は縮こまりながら言う。

「あの、すみませんっ。本当にごめんなさい! た、確かに永輝さんの唇はベーコンとは似ても似つかぬ……セクシーな唇だと思います」

 一応フォローをしてから、肝心の話題に移る。

「でも、あの、どうして私がここにいるのか説明してもらえませんか?」

 菜々がおずおず視線を上げると、永輝はベッドから下りてフライ返しを拾い上げていた。

「腹が減ったから食べながら説明するよ。菜々ちゃんもシャワーでも浴びてきたら?」
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