シンデレラに恋のカクテル・マジック
菜々が黙っているので、一臣が続ける。
「先ほどおじい様は、菜々さんが東京に残るよう手はずを整えるとおっしゃいました。そうして菜々さんにレディとしてのふさわしい教育を叩き込むつもりだと。でも僕は、そんなことをなさらず、僕に菜々さんを任せてくださいとお願いしました」
「それは、つまり……?」
菜々の疑問に、一臣がうなずいて答える。
「はい、おじい様に菜々さんに結婚を申し込む許可をいただきました」
「それでおじい様は……?」
「喜んでくださいましたよ。僕なら菜々さんを任せても安心だ、と」
「でも、私……」
菜々が口ごもり、一臣が端正な顔を傾けて問いかける。
「菜々さんは、まだ深森さんのことを?」
「はい……」
永輝には菜々以外にも恋人がいると知らされたとはいえ、そんなにすぐに彼を忘れられるはずなどなかった。両親への罪悪感を抱えて生きてきた菜々を思いやり、心を開かせ、温めてくれた人なのだから。
「まだ……忘れられません」
菜々が答えたとたん、一臣が立ち上がって彼女の耳に唇を寄せた。
「忘れてください。僕のために。そしてあなたのために」
そのまま彼の唇が菜々の頬に触れた。
「先ほどおじい様は、菜々さんが東京に残るよう手はずを整えるとおっしゃいました。そうして菜々さんにレディとしてのふさわしい教育を叩き込むつもりだと。でも僕は、そんなことをなさらず、僕に菜々さんを任せてくださいとお願いしました」
「それは、つまり……?」
菜々の疑問に、一臣がうなずいて答える。
「はい、おじい様に菜々さんに結婚を申し込む許可をいただきました」
「それでおじい様は……?」
「喜んでくださいましたよ。僕なら菜々さんを任せても安心だ、と」
「でも、私……」
菜々が口ごもり、一臣が端正な顔を傾けて問いかける。
「菜々さんは、まだ深森さんのことを?」
「はい……」
永輝には菜々以外にも恋人がいると知らされたとはいえ、そんなにすぐに彼を忘れられるはずなどなかった。両親への罪悪感を抱えて生きてきた菜々を思いやり、心を開かせ、温めてくれた人なのだから。
「まだ……忘れられません」
菜々が答えたとたん、一臣が立ち上がって彼女の耳に唇を寄せた。
「忘れてください。僕のために。そしてあなたのために」
そのまま彼の唇が菜々の頬に触れた。