愛のゆくえ
ふたりの出会い
5月の風がカーテンを揺らす。
紗菜は今日も1人の時間をすごしていた。

1人でいることのさみしさになれることのない紗菜は、あるサイトで出会いを求めた。それは、恋愛相手ではなく
同じ時間を共有できるトモダチのはずだった。

尚人のメッセージを見つけた紗菜は、迷わずメッセージを送った。しばらくして、尚人からのメッセージが届く。
お互い求めるものが話し相手だとわかると、メッセージのやり取りが始まった。

尚人 今何してる?
紗菜 夕飯食べてベランダで一服

尚人 タバコ吸うんだ。何吸ってるの?
紗菜 マルボロアイスブラスト

尚人 結構キツメの吸うんだ。
紗菜 一度禁煙したんだけど、チェンスモになったの。
4箱開ける。

メッセージのやり取りは、時間のズレができる。
数分後に届く今ほしい答えに尚人はケイバンを教えあうことを提案した。

紗菜の耳には優しく男らしい尚人の声が心地よく聞こえてきた。
尚人も天真爛漫な紗菜の声や言葉を楽しんだ。

尚人 紗菜ってさ、天然だよね?
紗菜 私は天然じゃないよ。だって、天然てかわいいコの こと言うんでしょ?

そんなたわいもない会話が続く。
会うつもりのなかった二人は次第に会うことを望むようになっていった。

ある日、二人は会う約束をした。
60キロ離れた町からくる尚人。
紗菜は高鳴る心臓の音が尚人に聞こえないか心配しながらも待ち合わせのパチンコ店の駐車場に向かう。

車の中で待つ男性に、

紗菜 尚人さんですか?紗菜です。
尚人 ホントに来るとは思わなかったよ。

全く知らない仲ではない二人は、スムーズに交際へ発展していった。
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