ひねくれ作家様の偏愛
私の手が震えているのを見過ごせなかったからか、それとも処女を抱くという醍醐味を味わうべきと思ったのか。

シャツが滑り落ち、ブラジャーのホックも外される。
外気に触れ、粟立つ肌。
いっそう、身体が震えた。


『寒いですか?』


『……平気』


海東くんが私の身体を引き寄せた。

彼の腕の中、繊細な細い指が背に触れ、身体が跳ねる。
次に彼のあたたかい手のひらが私の背を熱心にさすりだした。
温めようとしての行為だとわかった。

そんなわずかばかりの優しさが胸に染みる。

今夜だけ、バカになろう。
彼の仕事に役立つように。

私は海東くんの背にそろりと手を回した。
合意の合図とわかったらしく、海東くんがわずかに身体を離して私を見つめた。

唇同士がおずおずと重なる。
何度も角度を変え合わさり、とろけそうになったところで舌が滑り込んできた。

私はこれから始まることの意味をあらためて理解し、気持ちを奮い立たせる。

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