ひねくれ作家様の偏愛
だめ。
これ以上、言葉にしたらだめ。

私の頭の奥で、誰かが言う。

きみの気持ちなんか知ってる。
ここまでされて、気付かないほど鈍感じゃない。

だけど、私が応えてしまっていいの?
年上で、ただの担当で。美人でもなんでもない。
彼の人生に、創作にプラスになれるかわからない。


「海東くん、私……」


「俺はあんたが好きなんですよ!……ずっと、ずっと、ずっと。仕事なんて理由をつけなきゃ、あんたを抱けないくらいに!
あんたが好きなのは俺じゃない!俺の作品だ!そんなのわかってる!」


海東くんが苦しそうに叫ぶ。


「だけど、今は仕事じゃなく……あんたを抱きたい」


再び私の唇を奪う彼のキス。
私は夢中な唇を受け入れようと、顔の角度を変える。

頭の中がするするとほどけていく。
凝り固まった私の懊悩がゆるんでいく。
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