ひねくれ作家様の偏愛
彼の恋はきっと、私への執着の成れの果て。
得がたい献身を自分の傍に留めておきたいだけ。
それを恋と勘違いしているのだろう。

でも、そんな勘違いなら嬉しい。
たとえ、いつか冷めてしまうものでも。

だって、私はきみが好きだから。
きみが創り出すすべてが好き。
そして、きみ自身もどうしようもなく好き。

あの夜から、気付かないフリをし続けてきた。
だけど、私ももう限界。


「私が嫌だって言ったら、やめてくれるの?」


キスの合間に彼の耳元で問う。

海東くんは一度ぎゅっと顔をしかめた。それから、苦しそうに頷く。


「桜庭さんが嫌なら、これ以上しない。担当も外れてくれていいです。あんたといると、俺、また期待してしまうから」


「いいよ。きみの好きにして」


てっきり拒絶されると思っていたようで、海東くんはものすごく驚いた表情をした。
そんな顔を可愛いと思う。
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