ひねくれ作家様の偏愛
入り口で招待客に挨拶をしていた私も、海東くんの勇姿を見て密かにため息をついた。

本当にカッコイイ。

まずいなぁ、完全に男として彼を見てしまっている私がいる。
ドキドキと心臓が暴れ出す。赤面はしないようにしなきゃ。


「桜庭さん」


海東くんが真っ先に私のところへやってくる。


「海東くん、こんばんは。ようこそ。私、挨拶とかあるけど、手が空いたら行くから」


知り合いも少なく気詰まりだろうと、そんなことを言ってみたけれど、海東くんは平然としている。


「ま、適当にやりますから、安心してください。桜庭さんも忙しいでしょう」


あら、思ったより大人なお答え。

私は会場を闊歩していく海東くんの後ろ姿を見送る。
早速、どこぞの女性二人組に捕まる海東くん。

なるほど……彼からしたら、パーティー会場もバーやクラブと変わらないのかも。
退屈する暇がないという点で。

女の子とトークするのはいいけど、ちゃんと我が社の他部署に挨拶回りしてくれよ~。
ついつい、そんな目で彼を睨んでしまう。

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