ひねくれ作家様の偏愛
海東くんが人気ライターの地位を取り戻した時、私の好意は邪魔になる。
飯田に私の恋心は悟られたくない。


「惚れてないよ。私からしたら、海東くんはずっと若い」


「あいつの気持ち気付いてるんだろ?」


「それも今だけだよ。どん底を支えた私への恩義を勘違いしてるだけ。海東くん自身もいつか気付く。私が本気にしてちゃ、タチ悪いでしょ?」


「じゃあ俺のことは?好きになれる?」


私は友の顔を見つめる。
飯田は大事な友人だ。それ以上でも以下でもない。

ただ、打算で満ちた頭がちらりと悪い考えを巡らせる。

気心も知れて、一緒にいて楽しい飯田。
飯田を好きになれたら楽じゃない?

そんなズルい展望が過ぎる。


……ダメだ。
クズにはなるまい。

私のズルい恋に、飯田まで巻きこむな。


「飯田……それは」


私の拒否の言葉を打ち消すように、後方で音がした。
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