ひねくれ作家様の偏愛






新幹線が東京駅のホームに滑り込む。

海東くんに会おう。
なんとしても会おう。

彼の実家を出てから、ずっと思っている。
私の気持ちをきちんと伝えなきゃ。

新幹線のコンコースから降りるエレベーターで海東くんに電話した。
また出てもらえないかもしれない。

でも、出るまで何度も電話しよう。

近隣で彼が遊びに行きそうな場所もとことんあたってみよう。
女の子の家とかに転がり込んでいることはまずないだろうけど、ホテル住まいなんかされていたらお手上げかもしれない。

もう一度、彼の家に行ってみて手がかりを探そうか。


すると、コール8回目。
改札の手前で電話が繋がった。


「海東くん!?」


私は思わず大声で彼を呼んだ。
周りの改札に向かう人たちが振り向く。

< 219 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop