ひねくれ作家様の偏愛
「そうだ。次は今週の土曜に来てください」


案の定、私の渋る態度は丸々無視で、海東くんが勝手に日付を決めた。

彼は知らないのかな。サラリーマンは土日が休日ってこと。
無頓着なのか、わざとなのかはわからない。


「土曜はちょっと困るかな」


「なんでです?そんな低女子力で、男とデートとか抜かさないでくださいよ」


カチンとくるけど、反論できない。
週末にデートだなんていまだかつてないわい。たぶん、今後も起こり得ない事象だ。

当たり障りなく、嘘でもない言い訳を口にする。


「仕事、溜まってるから」


「夜なら来られるでしょう。土曜18時に俺の部屋。わかりましたね?」


いやだ。

反射的に言いそうになった。

絶対いやだ。


もう随分前から、夜には行かないようにしている。

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