初恋しました
疑問を浮かべながらも珀はまじまじとプリントに目を通した。
「えーと、『尚、次の課題についてはどれか1つを選べばいい。読書感想文、自分の将来の夢についての作文、環境についての作文』……」
「な?俺は砂漠化のことを書いた。
だから読書感想文は書いてないんだよ」
あんぐりと口を開けたままの珀からプリントを抜き取る。
「なんで読書感想文にしなかったの!?」
「作文の方が簡単そうだったから」
諦めろ、と言葉をかけて珀の頭を撫でた。
それに、こうなることはおおかた予想はできた。
かわいい弟だが、甘やかすと後々自分が後悔することになる。
それにいくら頑張っても俺の書いたものと珀の書いたものは違いすぎて一発でバレてただろう。
本人には言えないが、珀ははっきり言って文才がない。
本人には言えないが。