初恋しました
多分、その気持ちに嘘はない。
お礼はしたいというか、するべきだと思う。
本をあまり読まなかった珀が楽しそうに本のことを話すようになったんだから。
でも、もっとシンプルな理由の気がする。
ただ、俺は………
「志貴?」
拓に呼ばれてハッとなる。
どうやら、俺はまた深く考え込んでいたらしい。
拓は何も言わずに苦笑していた。
「こっちとこっち、どっちが書きやすそうだと思う?」
差し出してきた本の中身をパラパラと流し読みして、俺は実話である動物と人間とのドキュメントを選んだ。
もう片方はじゃあいいや、ということで、俺が返しに行くことに。
だいたいの場所を聞いてから席を立ってその場所に。
本の背表紙に書かれたラベルを見ながら歩いていると、ふと目の前に女の子がいて。
背が小さくて届かないのか、精一杯背伸びをして高い位置の本に手を伸ばしている。