初恋しました



なぜかいつもは不快に感じる暑さが、今日はそんなに気にならない。


隣の拓は暑い暑いとうるさいが。



図書館に入ると冷房の効いた風が体を冷やしていく。


2人で座る場所を決めて、さっそく拓は読書感想文に使う本を探しに行った。


俺はといえば、なんとなく視線を動かして周りを見てみる。



……今日はいないのか。


珀と会っていたあの彼女。


てっきりいつも図書館にいるものだと決めつけていたが、この時間帯にいるというわけではないんだろう。


どこか落胆した自分がいることに気づく。



……いや、なぜ落胆?


そもそもなんで俺はここにきた?


わざわざこんな夏の暑い中に歩いて。


今さらながらに首を傾げる。


そして考えて思う。


それは『彼女』がいると思ったからだ。


ではなぜ『彼女』がいるからとここにきた?


……珀がお世話になっている人だし、礼の一つでもするのが筋ってものだと思う。






< 35 / 47 >

この作品をシェア

pagetop