初恋しました
***
「で?昨日は話しかけられたか?」
ギロリと睨みつけると、拓はやれやれという感じに苦笑した。
時間は流れ、四季は巡ってすでに冬。
俺が名前も知らない彼女に恋にオチた夏から、約1年と4カ月が過ぎた。
その間、なんともヘタレなことに、俺は彼女に話しかけることができず。
足繁く(あししげく)図書館に通っては、遠くから見るだけ。
こんだけ頻繁に会えば彼女も気づいてくれると思ったが、甘かった。
彼女の興味はいつも本に向いていて、気づいてくれる気配は皆無。
残念なようなホッとするような気持ちを抱えながらも、俺は密かに彼女を見ている。
「もしバレたらお前ストーカー呼ばわりされたりして」
「……否定できない」
自分でも多少は思ってるし。
これ、一歩間違えば犯罪だよな……
思わずうなだれる俺に、拓はケラケラと笑った。