桜並木の下で
「より多くの感情を感じる事と表現する事が、私達が生かされている理由じゃないかな?」

「何のためにですか?」

「感情ってね、楽器の音を鳴らす感じに似てるの…でね、神様は私達という名の楽器の音色を使って、ものすごい交響曲を奏でるつもりなのよ!!」

一気に千夏が言い終えると、番人は深くうなずいて言った。

「なるほど…さぞ美しい交響曲になるでしょうね…番人の役割を与えられた私には、あずかり知らぬ事ですが…」

番人は青く澄み渡る空を見上げると、ヒラヒラと舞う花びらを見つめた。

「…今、ちょっと寂しいって思ったでしょ?番人さん」

千夏も番人と同じように、花びらが舞う空を見上げると言った。

「いえ、私にはそのような感情は…」

と言いかけて、番人は少し考えると言葉をつづけた。

「…あなたがそう言うのなら、きっとそうなのかも知れませんね…」

「うふふ…」

千夏は嬉しくなって、満面の笑を浮かべると番人に笑いかけた。

いつの間にか二匹の蝶が、二人の周りをヒラヒラ舞うと青い空へと消えて行った…


(終わり)
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

告白の時間

総文字数/27,667

恋愛(純愛)53ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
千歳さつきがマスターをする喫茶店「空の名前」に15年来の友人、桂木十子(かつらぎ・とうこ)と花園樹(かその・いつき)が訪れた 酒盛りがはじまり、千歳と花園が酔い潰れた横で桂木は、鳴海にある頼み事をする その内容は、鳴海に千歳を口説いて欲しいという内容で… 鳴海は好奇心と親切心からこの計画に協力する事になるのだが、桂木には真の思惑があって… 「黄金時間が過ぎるまで」のスピンオフの小説です。本編をお読みになってる方もそうでない方も楽しめる、短編恋愛小説になっています(たぶん)
海の花は雪

総文字数/151,818

ファンタジー369ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
夏休み、学校の図書館を訪れた深谷少年は、ある扉を開た事から異世界に行ってしまう そこで出会ったのは、同じ学校の上級生のハルで、数日前ここに来て帰れなくなったと言う… 果たして、そこは一体どこなのか?無事に生還する事は出来るのか…? そんな二人の出会いから始まる、海底ロマン&学園ほのぼのファンタジーです(^_^) ☆海底の王国〈封印編〉&海底の王国〈外伝〉とリンクしています
美術部ってさ!

総文字数/4,217

青春・友情10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
美術の補修を受けていた男子高校生の椿は、デッサンのコツを美術部の男子部員、冬馬に教えてもらう事になる それは美術部員独特のユニークなもので、椿は美術部と変わり者の冬馬に興味を持ちはじめる… ありそうでない、美術部ものの短編小説です

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop