君のために歌う歌
陽翔は足元を見て、チューニングをしているようだった。


チューナーが、赤や緑の光を出しチカチカしている。


チューニングが終わると、陽翔は観客を微笑んで見回した。


その顔はとても嬉しそうだった。



しかし、宙子の方は見なかった。



「……えーと、1曲カバー曲やりたいと思います。」



「スピッツで『空も飛べるはず』」



観客からおおー!と言う声が上がったと同時に、陽翔はギターを弾き始めた。



宙子も空も飛べるはずは知っている。


陽翔の声でそれが歌われるのは不思議な気がした。



陽翔は嬉しそうに歌っていた。
< 202 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop