君のために歌う歌
宙子はずっと陽翔を見つめているのに、陽翔とは全然目が合わなかった。




陽翔が、学ラン姿で転校してきたあの雨の日を思い出していた。



あの日の陽翔も、こちらをなかなか見てくれなかった。



(私も結局ファンの1人かな。)



そんな事を思っていると、曲はサビにさしかかった。



途端、陽翔は嬉しそうに宙子を見た。



宙子はドキッとした。体がはねてしまったのではないかと思うくらい。



(ひろと出会ったのは、雨降る季節だったね。)



そう歌っているように聞こえた。

< 203 / 303 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop