ごめん、好きすぎて無理。







『………陸…私も陸とお腹の中の子といられれば、それだけいい…』





紗奈はそう言って、俺の腕の中で、その可愛い笑顔を俺に見せた。









『………でも……海君やお父さん………』



紗奈はすぐに不安そうな顔に変わるー…





俺も正直、海になんて言って許してもらえばいいか。

お父さんになんて言って認めてもらえればいいか分からない。






でも、これだけは言える。



もう二度と、この人だけは離さないー…





それだけは言える。









『紗奈、俺たちの気持ち、言い続けよう。
 裏切って、悲しませて、傷つけた、でも…だからこそ分かってもらえるまで言い続けよう?』






『……陸…さっきお父さんに殴られたのにね…。
 また、殴られちゃうかもしれないよ…お父さんにも海君にも…』





紗奈は手を伸ばし、紗奈のお父さんから殴られて痛みがある頬を撫でる。





『…もう、陸には傷ついてほしくない……』






『傷や痣ができることくらい、なんでもない。
 紗奈とお腹の中の子と三人でいることを守るためなら、何度殴られてもいいよ、俺』





体に起きる痛みは時期がくれば治る。


傷や痣が癒えていくように。





でも、俺は知ってるー…



心の痛みは一生消えない、ということを。






だから、俺は紗奈と、お腹の中の子を離したりはしない。














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