ごめん、好きすぎて無理。







『………陸、俺とも約束しろよ』






『………え……?』






俺は海を見つめる、海も俺を見つめている。








『俺はまだ紗奈と陸のこと、完全には認められない。
 だから、俺に認めさせてみろよ?

 二人、これから一緒に過ごす中で、俺に認めさせてみろ。

 もし俺が認められたら、その時は、陸と紗奈に“おめでとう”って言うからさ』






『……海……』






なんて海に返したらいいのか、分からないー…








『…なんてな、本当はずっと紗奈の気持ち、知ってたから。
 こんなことになるのは時間の問題だって…分かってたから、俺』



海はそう言って、笑ったー…








『……海君…?』



紗奈も海の顔を見つめ、そう呼ぶ。







『紗奈、忘れたの?
 初めて公園で俺を見た時、紗奈は言ったでしょ、俺に。

 “やっと来てくれた、ずっと待ってたんだよ”って。


 紗奈は言ったよね、俺に似てるって。

 
世の中には自分と同じ顔の人間が3人いるとか話があるけど、俺が間違われんのは兄貴、陸だけだ。


 だから紗奈が待っている人は陸だ、そうずっと思ってた…』





海の言葉に紗奈は驚きの表情に変わっていくー…








『ちょっと怪しんでた、二人のこと。
 だから飲み会をした時の二人の会話も、二人を追って聞いたんだ…』










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