ごめん、好きすぎて無理。






『……沙羅、悪かった…。
 本当にお前のことを想ってただけなんだ…。

 でも、怖がらせてしまって、本当に申し訳なかった…』




高瀬はそう言って、高木さんに頭を深々と下げた。





『……恭二君……』






『恭二君、もういいよ。
 私が恭二君っていう素敵な彼がいるにも関わらず、海を好きになってしまったのがいけないんだし……。

 私の方こそ、恭二君を沢山傷つけてしまって、本当にごめんなさい…』




高木さんも高瀬に向かって、そう頭を深々と下げた。








『気付くのが遅かったけど…。
 沙羅、お前、いい男を好きになったな…?』





高瀬はそう言って、微笑んだー…










『なぁ…相原 海!
 お前、結婚を考えた奴を兄貴に奪われたって言ってたよな?

 もしお前の中に少しでも沙羅を想う気持ちがあるんなら…沙羅のこと、大事にしてやってくんねーか?』





突然の高瀬の発言に驚きの表情を見せる海。



でもすぐに海も優しく微笑みながら、高瀬に言葉を告げる。







『沙羅とは約束があるから。
 自分の中できちんと気持ちの整理がついたら、もう一度沙羅と向き合いたいと思います』








『宜しく頼むわ……。
 俺の大事な女はお前を想ってるみたいだからよ』






高瀬はそれだけ言って、同じ病室に入院している患者、そして看護師達に何度も頭を下げた。











< 141 / 159 >

この作品をシェア

pagetop