ごめん、好きすぎて無理。
『そういえばさ、兄貴達、名前と考えてんの?』
海が感動的なシーンに水をさすように、そう問いかけてきた。
『……まぁ……』
俺は紗奈の顔を見つめる。
紗奈は俺の視線を受け取り、首を縦に振った。
『この子の名前は…
“愛希”にしようと思う。
愛されるの愛に希望の希で、“アキ”。』
『愛希ちゃんか…素敵な名前ね!』
紗奈のお母さんがそう言って、微笑む。
『陸が考えてくれたの。
女の子だって分かった時に、陸が考えたのよ?
誰からも愛される子、そして沢山の人に希望を与える、そんな女の子になってほしい、だから“愛希”』
紗奈のその言葉を聞いて、海はにやけた顔で俺の腕を小突いてくる。
…も、俺は無視する。
だって照れ臭いじゃん?
『陸、結構いいネーミングセンスじゃん!』
『……それは、どーも』
俺と海はそう言いながらも、二人、微笑む。
『本当にこの子は名前の由来通りかもね?』
高木さんがそう言い出す。
『だって、こんなにも沢山の人達が愛希ちゃんの誕生を喜んで、こんなにも愛してる。
それに、この子の存在がみんなを一つにしてくれた、本当に希望をもたらしてくれた子だよ』
高木さんの言葉に、全員が優しく頷くー…