ごめん、好きすぎて無理。
『まだ付き合ってんだろう?』
海は知らないー…
あの時、本当は紗奈と会ってたことー…
『……いや……』
『え、別れちゃったのかよ?』
海は驚いた顔を見せ、そしてため息をついた。
『陸、本気だったの、その彼女と』
本気も何も、お前の彼女と会ってた、なんて言える訳もなく…。
『元カノと会ってた』
俺はそれだけ答えた。
『元カノ?
いつの時の?』
海は食事を口に運ぶのを中断し、俺に問いかける。
『高校の時の……』
『あぁ…あの受験の彼女か!』
海は何かを思い出したかのように、そう言った。
『あれだろ?
確か彼女の成績が思いっきり下がって、陸と付き合って、恋に夢中になりすぎて勉強出来ていなかったとかで、彼女の親から別れさせられたってやつ…』
海はそう言う。
そう、海は俺と紗奈のことを知らない。
俺が紗奈を妊娠させたことも、紗奈との事実を何も知らないんだー…