病むほど君に依存してる
「先輩のところ、もう授業は終わったんですか?」

「まぁね。ちょうどよかったみたいだし、一緒に帰ろうと思って。……それにしても、」


 神代先輩と廊下を歩きながら、何気ない会話をする。すると、神代先輩は呆れた表情を浮かべながらこちらを見た。


「アレは相当ね」


 “アレ”、とは。

 言わずもがな、瑠珂くんのことだろう。

 ということは、やっぱり、神代先輩はタイミングよく声をかけてきてくれたんだろうか。


「私、どうしたらいいんでしょうか……」


 兄の聖くんから言われたことや、さっきまでの出来事を全て神代先輩に打ち明ける。

 その間にも歩は進め、校舎を出て門をくぐった。

 しばらく考えてくれた神代先輩は、ふと、目の前に停まっている赤色の車を指差した。


「同族に聞いてみる?」


 ど……同族?赤い車?

 意味が分からなくてぽかんとしてしまった私だけど、目の前の赤い車が高級車だっていうことだけは気付いてしまった。


「ただいま~、春人(はると)」


 神代先輩は、親しげにその名前を呼ぶと同時に車の扉を開け、慣れた動作で中に乗り込む。


「さぁ、瑞季ちゃんも中に入って。家まで送っていくわ。……春人が」


 ……春人、さん?

 運転席に目をやると、にこっと微笑む男性と目が合った。
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