赤いエスプレッソをのせて




私は時々、自分が病気なんじゃないだろうかと思うことがある。

別に、肩に妹が見えることを言ってるわけじゃなくって、たまにある、どうしようもない『衝動』のことだ。



この世界には、やっちゃマズいことが結構ある。

私が犯してしまった、『殺人』というのもそのひとつだ。

たとえ、どんなに幼い時のことであっても、それはやっちゃマズいこと。変わりはない。

だけど私は、時おりそのやっちゃマズいことをどうしてもどうしても、やりたくなってしまう時がある。

それは私のためじゃなく、妹の、千代のために。

前付き合っていた彼に、ぼそりと言った。

「死んでみてくれない?」

あの時の、あの男の驚き振りというか、情けなさは、今思い出しても噴飯ものだ。

いったいどこの世界に、スネ夫みたいな男が存在するって話だ。

バイト先で思い出してしまった時は、お客にヘンな目で見られたこともあったほどで。

ママ――っ、はないでしょ、ママ――っ、は。
< 10 / 183 >

この作品をシェア

pagetop