赤いエスプレッソをのせて




世界に自分とそっくりな人間が何人いるか、聞いたことはある?

三人だそうだ。世界に、三人。

たったそれだけかとも思うけど、日本人の私に似ている人なんて、日本以外じゃ中国か韓国辺りしかいないだろう。

そんな狭い範囲で三人というのは、もしかしたらものすごく、確率が高い話なんじゃないかと思う。

私は、そして、その『そっくりさん』への愛情を、受けていた。

本当なら私へ向けられることも、『その人』に向けられることもなかった『愛しさ』や『慈しみ』、『親しさ』や『恋しさ』などを、すべて。

その私が、『その人』の代わりに。

『その人』の名前は、明海さん。

山久尚司のお姉さんだ。

彼が十年前、強盗に殺されたお姉さん。

彼が、一番心に刻み付けている人。
< 104 / 183 >

この作品をシェア

pagetop