赤いエスプレッソをのせて
事情を聞いた仲代先生、曰く。

「幼心にも罪悪感はあるでしょう。アナタがどうして妹さんを殺してしまったのかはわからないけど、アナタだって当時はショックを受けたと思うわ。

大概ね、なにか大きな過ちを犯してしまった場合、心に傷を負うのは、被害者よりも加害者のほう。

それが殺人なら、殺された側の遺族は悲しみに暮れるでしょうけど、殺した側だって、一生その重荷を背負って生きていかなきゃならない。

アナタはまだ八歳で、法に裁かれることはなかったのでしょう? そうやって結局、なんの罰も与えられなかったアナタは、妹さんの幻をいつも見るという幻覚障害で、罪をそそごうとしてるのよ」



つまり、肩の上の妹は、『本人ではない彼女』だということだった。

私が作り出した、私が楽になるためだけの、幻。

私が彼女という存在に許されたいと願ったばかりに現れた、私の望み。

現実逃避の、形のようなものなのだ。

まどろっこしいだけ、なのに。

私には、罪の意識なんて、あるかどうかも怪しいのに。
< 19 / 183 >

この作品をシェア

pagetop