赤いエスプレッソをのせて
初めのうちこそ、危ない薬をしているのではないかと疑われもしたが、仲代先生の端正な追及の結果、そう判明した。

さらに、そんなものを見続けてまともな精神を保ち続けているアナタはすごい、とまで評価されてしまった。

それで、どうすれば治るのかと訊ねたら、仲代先生はとんでもなく苦い抹茶を一気に飲み干したような顔で、催眠療法しかないでしょうかねぇ、と言った。

私の記憶を過去に戻して、妹が死んだ直後に、悲しみに暮れた記憶を『捏造』する。

一番の問題は、私が殺人を犯したことを、千代の一回忌までなんとも思わなかったことにあるようだ。

もう少し早く悔い改めていたら、私は自己嫌悪でこんな幻影を見ないですんだらしい。

これもまた、私の後悔のひとつだ。

ごめんね、千代――と、その辺の吹き出しから取って付けたようにだが、思ってやる。
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