赤いエスプレッソをのせて
(それにしても、アンタも贅沢だわよね)

閉じた瞼の暗闇の向こう、仲代先生の言葉を耳の端に捉えつつ、息継ぎをしなくてもいい水中をどこかへと流されるかのような気分のさなか、私は思った。

(私が作り出したっていうのに、私にこんなに手間をかけさせる……やっぱりアンタ、ほんとは千代でしょ。私が作ったなんてうそで、ほんとはあの世から私のこと呪いに来たんでしょ――このワガママな甘ちゃんめ)



「目の前になにが見えますか」

「台所が……、流しが見えます」

『どこからか聞こえるだれかの声』に、私はそう返す。

いつのまにか私は、台所に立っていた。

背丈も、居間に続くのれんの下に、頭がほんの少し届くくらい。

あれ? 私いつ、帰ってきたんだっけ。

「周りに、誰がいますか?」

またどこかから訊ねられて、見渡すと、居間のほうに千代が見えた。

、、、、、、、
いつものようにレゴブロックで遊んでいる。

今は、うーん、なにか家のようなものを作ってるみたいだけど、抽象的で、わかりにくい。
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