9歳差は、アリですか?
浅岡はもらいたくもないだろうが、立原は最後に何かしたかったのだ。浅岡に合いそうな料理本を2冊選ぶとレジでプレゼント用に包んでもらう。

「あれ、プレゼントなの?」

笹山の一言に立原の肩が強張る。これから笹山にいつか浅岡に届けてもらう予定だった身としてはそう言われると中々言い出せない。

「ええまあ…」

少し考えてから適当に濁す。これ、悠くんに届けてもらえませんか。そう言って笹山にナチュラルに渡すつもりが、雲行きが怪しい。これで断られたらもう立原に望みはない。

「誰に?」

悠くんに、とは言えず言葉に詰まったが、笹山は割と早く察した。

「ハルカ、か」
「ーーーまあそんなところです」
「なんのプレゼント?」
「卒業祝いです」

しばしの沈黙の後、笹山が何か感じたのかにやりと笑った。そして立原が口を開く前に手で制す。

「言っとくけど、俺は受け取らないよ」
「え?」
「立原さん、今日それ買ったのって俺がいるからでしょ?あわよくばハルカに届けてもらおうとか思ったんじゃないの」

まさかの先手を打たれて、立原はぐっと言葉を飲み込んだ。図星を突かれ何も言えない。

「やっぱり、俺は届けないからね」
「嘘、」
「嘘じゃないよ。そういうプレゼントとかは自分で渡さないと、ねっ?」
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