9歳差は、アリですか?
ねっ?と言われても渡せないのだからどうしようもない。もう望みがないのだ。家も知らないため、家にこっそり届けることもできない。変質者っぽいので笹山に住所を聞く勇気もない。
浅岡も立原なんかに会いたくもないだろうし、まず会う機会がないのだから渡しようがないのだ。
「ーーーそんな事分かっています。でも渡せないから、…課長に頼もうと思ったんですよ」
ふーん、と笹山は曖昧に返事するが、その声に何か複雑な物が滲んでいる。
「そっか…。まっ、とりあえずいい時間になったし、本社に行こうか。その話は会議が終わってからにしよう」
確実に流された!立原から目を逸らしながら笹山は話題を切った。仕方なく立原はラッピングされた本を鞄にしまい、さっさと駅を出ようとする笹山の後を追う。腑に落ちないまま、近くなのですぐにテレビ局に着いた。
「立原さん!やっと帰ってきた!待ってたよ!」
「立原ー、これで目の保養!美人見ると本当意識高くなるわあ」
「緩和剤要員復活でやっと会議も安心だね」
政治部フロアに着くと普通の歓迎のされ方ではなかった。なんか複雑だ。笹山も黙ってニコニコして見ているだけである。しかし、立原は苦笑して誤魔化した。今は何言われてもうまく受け応えできない、浅岡の事で頭がいっぱいなのだ。鞄からチラリと見えるラッピングの端を見つめながら、立原はふと表情を落とした。ただでさえ無表情のドライ女だと言うのに、無意識で無になるとリアリティーが増す。
浅岡も立原なんかに会いたくもないだろうし、まず会う機会がないのだから渡しようがないのだ。
「ーーーそんな事分かっています。でも渡せないから、…課長に頼もうと思ったんですよ」
ふーん、と笹山は曖昧に返事するが、その声に何か複雑な物が滲んでいる。
「そっか…。まっ、とりあえずいい時間になったし、本社に行こうか。その話は会議が終わってからにしよう」
確実に流された!立原から目を逸らしながら笹山は話題を切った。仕方なく立原はラッピングされた本を鞄にしまい、さっさと駅を出ようとする笹山の後を追う。腑に落ちないまま、近くなのですぐにテレビ局に着いた。
「立原さん!やっと帰ってきた!待ってたよ!」
「立原ー、これで目の保養!美人見ると本当意識高くなるわあ」
「緩和剤要員復活でやっと会議も安心だね」
政治部フロアに着くと普通の歓迎のされ方ではなかった。なんか複雑だ。笹山も黙ってニコニコして見ているだけである。しかし、立原は苦笑して誤魔化した。今は何言われてもうまく受け応えできない、浅岡の事で頭がいっぱいなのだ。鞄からチラリと見えるラッピングの端を見つめながら、立原はふと表情を落とした。ただでさえ無表情のドライ女だと言うのに、無意識で無になるとリアリティーが増す。