9歳差は、アリですか?
「すみません。なんか」
「立原さん、突然倒れちゃってびっくりしたよ?具合はどう」
「大丈夫です。ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「なんだか他人行儀だなあ。もっとフラットでいいよ。立原さんって壁がある感じだよね」

何が言いたいのか分からないが、笹山はニコニコと人当たりの良い笑顔で立原を見る。思ったとしても、本人目の前で壁があるなんて普通は言わない。

「本当に申し訳ありません、失礼しました」

笹山は何を考えてるのか見当もつかない表情な為、立原は少し怖くてさっさと立ち上がり部屋を出ようとする。

「ねえ、立原さん」

しかし呼び止められて立ち止まった。

「聞かないんだ。なんで俺があそこの店にいたのか」
「聞く理由がありませんから。誰がどこに行こうとも私には関係ありませんし」
「本当にドライなんだね」

言っている意味が分からない。なぜ聞かなかっただけでドライと言われなくてはいけないのだろうか。

「実は俺、あの店に呼び出されたんだよね。それで後輩の可愛い女の子から告白されたんだ」

何の自慢か分からないが、とりあえずどうでもいいから帰りたい。
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