小さな恋物語


光とはいつもバカばっかやってる。高校時代、夏の体育の後に水道の近くにいる光の傍を通ったら思い切り水をかけられて、かけ返して、体操着がびしょびしょになった。

教室に入ろうと扉を開けたら黒板消しが落ちてきて、それを仕掛けたのはもちろん光で、黒板消しを投げつけたら光の顔面にヒットしたり。

光の下駄箱におもちゃのカエルを入れておいたら、びっくりした光があり得ないくらいの奇声を上げて二人揃って先生に怒られたり…。

私たちはそういうことばっかりやってきた。


光の顔が近づいてきて反射的に目を閉じると、光のそれが私の唇に触れた。
ただ触れるだけですぐに離れてしまう。

目を開けるといつもと変わらない、明るい光がいた。


「俺はさ、俺の隣にいるのはいつも理央で、いつも一緒にいてほしいのも理央なんだ、やっぱり」

「今、既成事実を作ったしね?」


何てことはないキスなんだけど。あの当時何も出来なかった元カップルの私たちからすれば大進歩だ。

光は力が抜けたようにクシャッとした笑顔になる。
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