小さな恋物語


「そう。あの頃は何も出来なかったけど。理央、もう一回俺と付き合って。俺と一緒にいて」


光は私の体を起こしてくれると、苦しいくらいに抱きしめてくれた。

初めてなのにまるでここが収まるべき場所のように馴染んでいる。


「そういう時はちゃんと言ってもらいたいんだけどな。昔みたいに」


あの時、光は照れることなくハッキリと言った。
『理央が好きだから付き合って』と。


光は私の目をしっかり見て、同じように言った。


「俺は理央が好きだから付き合って。俺の隣は理央の、理央の隣は俺の指定席ね」

「うん」


お弁当を食べるとき、宿題をするとき、遊びに行ったとき、大学で講義を受けるとき、私たちはいつも隣同士で座っていた。

これからもずっとそうなんだ。


End


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