LONELY GUARDIAN―守り人は孤独と愛を歌う―
鈴蘭が門をくぐると、門衛が格子を閉めた。
格子の向こうから、鈴蘭がオレを呼び止めた。
「煥先輩。
今日、ずっと乗せてくれて、ありがとうございます」
「いや……別に」
「それと、わたし……。
ごめんなさい……」
オレはメットを外して脇に抱えた。
広がった視野の真ん中で、鈴蘭が下を向いた。
「何で謝る?」
「わたし、何の役にも立ってないから」
「またそんなこと言うのか?」
「煥先輩は強いから……。
わからないですよね、わたしの無力感……」
小さな白い顔。
細い肩。
弱々しい立ち姿。
不意に、平井に植え付けられた恐怖を思い出す。
鈴蘭を襲おうとした、オレ自身を。