ハートブレイカー
自分の部屋が与えられたこと、そしてひとりで寝ること自体が初めてだったから、私はまだひとりで寝かせるのは早いんじゃないかと心配していた。
後ろ髪をグイグイ引っぱられる思いで、直哉におやすみを言って部屋を出たくらいだ。
部屋を出た後は、目が合った彼を思いきり涙目で睨みつけたし。

けど直哉は大丈夫だった。
ただしそれは、「何かあれば、パパとママが来てくれる」という安堵感がベースにある。
そしてそれは、3歳の直哉にとって、というより、今の直哉にとって、必要不可欠な要素なんだと改めて思った。

きっと彼は、それに気づいていたんだ。
そして私が、まだ子離れできていない過保護な母親であるということも。

まったく・・・癪に障る。
そんな風に思う私は、やっぱりかわいげなんて微塵もない女だ。

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