ハートブレイカー
彼は、会長さんに顔立ちは似ていない。
どちらかというと、お母様のほうに似ていると思う。
でも矛盾がいっぱいという点は、会長さんにそっくりだ。

大人たちは、お互いの腹の内を探り合いながら、表面上はにこやかに会話を進めていく。
私はお行儀の良い「マナ猫」の仮面を被っている。
自分自身を守るために。

無意識にポケットに手を入れた私は、スマホのストラップをいじる。
チリンという鈴の音がかすかに聞こえると、隣に座っている彼がフッと笑った。

居心地が悪いこの場に、どうにかおとなしくい続けることができるのは、直哉と・・・彼のおかげだ。

直哉が、保育園であれをやったこれをやったとしゃべる。
大人はそれをにこやかな顔で聞く。
でも直哉の話が終わり、私のほうを見たお母様の顔が、私には般若のように見えた。

来る!

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