ハートブレイカー
「直哉。スープを食べなさい。おいしいわよ」
「はい・・・」

と返事はしたものの、直哉はチビチビと、そしてイヤイヤな顔をしながらスプーンを運んでいる。
クリームベースの枝豆スープはとてもおいしいんだけど、ちょっと大人向けというか・・・。
思ったとおり、直哉の口には合わないらしい。

「ばあば、もういらない」
「あらどうして?」
「ぼく、これきらい」
「そんな理由で残しちゃダメよ。直哉の分は最初から少なめに注いでるんだし。それくらいなら我慢して全部食べなきゃ大きくなれないわよ」
「でも、これきらい」

今にも泣きそうな顔をしている直哉は、握っていたスプーンをワナワナと震わせている。

「お母様。直哉はもう十分いただきました」
「いいえっ!全然食べてないわ。それでもいらないって言うなら、デザートのクッキーはあげないわよ!」
「う・・・やだ・・・」

美味しいと思った枝豆のスープだけど、今は味がしない。
私は静かにスプーンを置いた。


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