ハートブレイカー
「いないよ。大体彼女がいながら、おまえを抱きしめたりキスしようとするか。まったく・・・俺なりに誠意を尽くしたが、もう我慢する気はない。マナ」
「は、い」

彼の顔が近づいて、私にそっとキスをした。

「おまえは・・・鈍感すぎだ」
「なっ」
「どれだけ俺がおまえのことを好きなのか、おまえは全然分かってないだろ」

そんなことを言いながら、彼は何度も私に啄ばむキスをした。
と思ったら、長く深く吸いついてきた。
あぁダメ。息ができない・・・。

「逃げるな」
「ん、いき・・・」

唇は離れた。
けど、今度は額同士がくっついた。

「マナ・・・」

私を呼びかける彼の低く優しい声に、みぞおちがギュッと反応する。
こんなことを私にできるのは、悔しいけどこの人だけだ。

そしてこの人から、何度でも「マナ」って呼ばれたい。

いつの間に移動してたのか。
後ろにそっと倒された先は、ベッドがあった。

彼は私の上に乗ったまま、Tシャツを脱ぐ。
あらわれた上半身は、あのときよりたくましくなったみたい・・・。
もうさっきからずっと、おなかの奥が疼いている。 早く・・・!

そう思った矢先、彼が体を倒してキスしてくれた。


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