誰よりも、君が好き
思わず舌打ちをしてしまう。
「下僕は黙ってついてきてればいいんだよ」
「…また、命令なの?」
「…あぁ」
俺がお前と一緒に帰りたいだけだ。
…なんてことは口が裂けても言えるわけがなくて。
俺は無愛想に返事をしてしまうんだ。
こんなところで"下僕"を使うとか、俺もダサすぎるだろ……
俺はあいつが靴を履き替えるのを見届け、
「行くぞ」
と一言だけ放ち、「ちょっと待ってー!」と慌てるあいつを振り返らずに前を歩き始めた。