真っ赤なお伽話

僕はベッドの下に閉まっている灰皿を引き出し制服のうちポケットから煙草を取り出す。
すると、轟々野がライターを素早く取り出し点火した。
一口目を口からゆっくりと漏らすと、重力に任せるようにベッドに座り込んだ。
「しかし、あの魔王ですら怖いものがあるなんて驚きだね。」
そう言うと、苦々しそうに表情を歪める。その笑顔だけは崩さずに。
「…俺は決して自分が立つステージが低いレベルだとは思わない。むしろＳクラスだと思ってる。」

この発言は決して過信や過大評価といった類の物ではない。
実際にプロの殺し屋が７人が瞬時に葬り去られてきた所を僕は見た。「しかし、」と一旦お茶を啜り言葉を切る。
轟々野は遠い目で言葉を続けた。
「あの人はクラスがちげえ。ＳＳＳクラスだな。おれっちを相手にして素手であしらっちまう…」