真っ赤なお伽話

その体験はきっと轟々野にして珍しくも苦い想い出なのだろう。
しかし、源内さんとの邂逅を機に成長したのも確かなのであろう、最近の轟々野の成長は目覚しい。
「まぁ、てぇー訳で仕方無かったわけだよ反逆者。お前だって逆の立場だったら即俺を売り飛ばすだろ？」
「あぁ。」
きっとその行為に僕は豪ほどの躊躇いを覚えない。
決して轟々野だからそうするというわけではなく、それほど僕は、ツメタクカワイタニンゲンナノダカラ。
―――――――――シンジテイタノニ。
―――――――――ズットマッテイタンダゾ！
―――――――――オマエノセイデドレホドノニンゲンガシンダンダ？
「まーたまた腐乱しきった想い出の想起ですか、えいきっちゃん？」
どうやら意識が浮遊していたらしく、目ざとく突っ込んでくる轟々野。